毎週月曜日に、島根日日新聞(「日替わり連載コーナー」内)に掲載されている「県立図書館おすすめ新着本」の紹介
です。(最近3ヶ月分を掲載しています。)
『脳を創る読書 : なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』 酒井 邦嘉/著 実業之日本社 ![]()
・・・どうなる?紙の本・・・![]()
近年、多機能型携帯端末等の急速な普及により、「書籍の電子化」という流れが否応なく加速しています。電子書籍
は、1台の端末があれば何十冊分ものデータを取り込むことができるし、機能によっては文字を拡大したり本文の検索
ができたりと大変便利です。では将来、私たちの周りから「紙の本」が無くなり、すべて電子書籍に変わっていくのでし
ょうか。本書は、言語脳科学者の酒井氏が、なぜ紙の本が人間にとって必要なのか、紙の本が持つ魅力について脳
科学の視点から分析をしています。そして、今後電子化への流れが止まらないのなら、紙の本と電子書籍をうまく使い
分け、それぞれのよいところを享受していくことが望ましいと提唱しています。
(島根日日新聞掲載日:2012/05/14)
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『聞く力 : 心をひらく35のヒント』 阿川 佐和子/著 文藝春秋 ![]()
・・・聞き上手になるために・・・![]()
小説家、エッセイスト、テレビ番組での司会など様々な活躍をする著者が、20年以上続く連載でインタビューをしてき
た経験から、聞くことについてのコツを紹介しています。
「聞き上手とは」「聞く醍醐味」「話しやすい聞き方」というテーマに沿って、多くの有名人と対談してきた著者ならでは
のエピソード、失敗から感じたこと、それをどう活かすのかとユーモアを交えてわかりやすく書かれています。
聞くという行為は私たちが日常的に行っているものですが、どれほど相手のことを考えているでしょうか。本書では、
コミュニケーションにおいての重要な要素であることを再認識することができ、具体的な方法も紹介されているので参
考にしてみてはいかがでしょう。
(島根日日新聞掲載日:2012/05/08)
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『炎路を行く者 : 守り人作品集』 上橋 菜穂子/著 偕成社 ![]()
・・・密偵ヒュウゴの少年時代を鮮やかに描く・・・
全10巻で完結し、外伝1冊が出ている「守り人シーズ」。幼い皇太子チャグムを助ける女用心棒バルサの活躍から始
まった冒険物語は、成長したチャグムがタルシュ帝国の侵略に抗しながら、人々を災厄から救う壮大なストーリーへと
つながっていきました。
その中で、物語後半に登場したタルシュ帝国の密偵に魅力を感じられた方も多いのではないでしょうか。祖国を亡ぼ
され、敵だった帝国に仕える謎多き男ヒュウゴ。本書ではその少年時代と密偵となったいきさつが語られます。同時収
録されたバルサの少女時代とともに、思春期の心の動きが鮮やかに描かれていて、「守り人」ファンへの何よりの贈り
物となっています。シリーズ未読の方もこの機会にぜひ、本編からどうぞ。
(島根日日新聞掲載日:2012/04/30)
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『すべて真夜中の恋人たち』 川上 未映子/著 講談社 ![]()
・・・不器用な女性の恋愛物語・・・![]()
芥川賞を受賞した作家、川上未映子が描いた心切なくなる恋物語です。
無口かつ内向的な性格で、自分の意見を表に出せない主人公の入江冬子は、他人と接しなくてもよい、という理由で
本の校閲をする仕事に就きます。友人も少なく、自分の家の中に閉じこもりがちの冬子ですが、カルチャーセンターで
25歳年上の男性と出会います。
会うときはいつも喫茶店で待ち合わせ、会話の少ない二人ですが、少しずつ恋愛感情が芽生えていき、やがて相手
への想いを冬子は伝えます。しかし、そこには意外な結末が待っています。
星空の夜のように澄んだ文章で書かれており、もの悲しさの漂う内容と結末ですが、これから誰かと恋愛したいと思
われる方には、是非読んでいただきたい本です。
(島根日日新聞掲載日:2012/04/23)
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『14歳のアウシュヴィッツ : 収容所を生き延びた少女の手記』 アナ・ノヴァク/著 白水社 ![]()
・・・書き残すことで生きられた!・・・
1944年、日本に敗戦の色が濃くなった頃、オランダではアンネ・フランクがナチスの強制収容所に送られました。丁度
その頃、一人のハンガリー系ユダヤ人の少女が同じくナチスの収容所で、死と隣り合わせの日々を生きていました。ア
ンネと同じ14歳。ユダヤ人の血を引くというそれだけの理由で頭を丸坊主に剃られ、裸同然で、食べ物もろくに与えら
れずいくつもの収容所を引き回されたのです。
その少女が、自らの精神を崩壊から守るために書き残したメモが見つかり、奇跡的に生き延びることができた少女の
手に戻ります。
ナチ収容所から持ち出された唯一の記録といわれるこの手記は、14歳の鮮烈な印象で率直に綴られた、『アンネの
日記』後編とも評されるべき衝撃の一冊です。
(島根日日新聞掲載日:2012/04/16)
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『江戸と東京の坂 : 決定版!古地図"今昔"散策』 山野 勝/著 日本文芸社 ![]()
・・・江戸時代のまま残っている東京の坂・・・![]()
平地のように思える東京に、意外と坂が多いのをご存じでしょうか? 東京山の手は、本郷台地、小石川台地、上野台
地など多くの台地が連なっています。そこには、江戸時代に命名された500余りの坂が今も健在なのです。本書は、タ
レントのタモリ氏が副会長をしている日本坂道学会の会長である著者が、江戸切り絵図と現代地図を対照させ、丹念に
その道筋をたどる東京の坂道ガイドです。富士山を眺められる「富士見坂」、海を望む「潮見坂」などのほか、松江藩松
平出羽守の上屋敷があったことに由来する「水坂」、小泉八雲の『怪談』にも描かれている「紀伊国坂」、歌にも唄われ
た「無縁坂」など、140余りの坂道が、周囲の名所・旧跡とともに紹介されています。
(島根日日新聞掲載日:2012/04/10)
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『タネが危ない』 野口 勲/著 日本経済新聞出版社 ![]()
・・・タネと人の未来にあるもの・・・
私たちが口にする野菜は、どんなタネから育てられたものでしょうか。
著者は、手塚治虫の担当編集者として勤めた後、家業の種苗店を継いだ、変わり種です。
現在流通している野菜や花のタネは、均質で大量生産に向く「F1種」という、一代限りのタネ。著者の店では、昔なが
らの「固定種」という、自主採種を繰り返し安定させた「タネ屋の自慢のタネ」のみを販売する日本で唯一の専門店とし
て、固定種野菜の復活に挑戦しています。
「F1種」のタネの多くは、花粉をもたない突然変異の個体から作られます。著者は近年起こったミツバチの大量失踪と
それとの関連を疑い、さらには人類への影響を危惧します。
小さなタネに秘められた無限の可能性を感じさせる一冊です。
(島根日日新聞掲載日:2012/04/02)
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『本へのとびら : 岩波少年文庫を語る』 宮崎 駿/著 岩波書店 ![]()
・・・大切な本が、一冊あればいい・・・![]()
2010年、「岩波少年文庫」が創刊60周年を迎えました。これまでに刊行された少年文庫は400点を超え、どれも永く
読み継がれてきた国内外の児童文学の名作ばかりです。同じ年に、アニメーション界の第一人者、宮崎駿さんが映画
化した「借りぐらしのアリエッティ」が公開されましたが、それを機に原作の『床下の小人たち』を読んだという人も少なく
ないでしょう。大人の小説より、流行とは関係のない「児童文学の方がずっと気質に合う」と語る宮崎さん。本書では、
長年親しんできた岩波少年文庫の中から厳選したお薦めの50冊を紹介しています。また自身の読書体験や児童書の
挿絵に魅せられた話、震災後の世界の話、ひとりの小学生との交流、本への熱い思いなど、読書案内書としても楽しめ
る一冊です。
(島根日日新聞掲載日:2012/03/27)
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『クラウド時代のハイブリッド手帳術』 倉下忠憲/著 シーアンドアール研究所 ![]()
・・・充実した人生のための手帳活用術・・・
スマートフォンの普及でクラウドサービスが身近になり、EvernoteやGoogleカレンダーなどのデジタルツールを手帳
として利用する人が増えています。
デジタルツールは必要な情報を検索したり、重要な予定を通知するなど便利な機能を備えています。しかし紙の手帳
には自由度が高く見返しをしやすいといったアナログならではの利点があり、全ての機能をデジタルツールに置き換え
られるわけではありません。
本書はアナログ、デジタル両方の得意分野を有効に組み合わせた手帳の活用術を詳しく紹介しています。
時間や仕事の適切な管理に留まらず、過去の記録を残し未来を展望するなど、人生を豊かにしてくれる自分にあった
手帳の使い方を見つけるヒントが詰まった一冊です。
(島根日日新聞掲載日:2012/03/20)
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『再発見日本の民藝:ものづくりの原点を訪ねる』 なかやま あきこ/写真・文 小学館 ![]()
・・・手作りの品で暮らしに潤いを・・・![]()
今の私たちの生活は、工場で大量生産された製品に囲まれています。一昔前までは、うつわ、布・織物、和紙など身
近な道具や用品を、職人さんが、或いは自分で作ってきました。そんな手仕事の日用品に注目したのは、1920年代、
柳宗悦らによる民芸運動でした。
本書は、全国の民芸を見て触って感じて旅した著者が、選りすぐった品をカラー写真で紹介しています。さらに扱い方
や、壊れても修復して長く使う工夫など、暮らしに民芸品を上手に取り入れることを提案しています。著者は、島根県の
石見焼、出西窯を取り上げ、うつわ好きには天国のような場所、とまで言っています。
手作りの品は、ものを大切にして、ものを楽しむ暮らしを、私たちに教えてくれます。
(島根日日新聞掲載日:2012/03/13)
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『ベイリー、大好き
: セラピードッグと小児病院の子どもたち』 岩貞るみこ/文 澤井秀夫/写真 ![]()
・・・ベイリー、さあいこう!・・・
痛み、恐怖、苦い薬、寂しさ...あらゆる試練に耐え、立ち向かっているこどもたちがいます。そんな彼らを支えようと、
「病院にセラピードッグを常駐させる」という日本初の試みが静岡のこども病院で始まりました。
アメリカでセラピードッグとなる訓練を受けたゴールデン・レトリーバーのベイリー。病院に毎日通ってプレイルームでこ
どもたちと触れ合い、ベッドに寄り添い、そして手術室まで付き添います。怖い治療もベイリーとなら頑張れる。苦い薬
だって飲める。そういうこどもたちも少なくありません。ベイリーがやってくると一気に和らぐ表情。綴られるエピソードと
写真を見ていると、セラピードッグの可能性に期待せずにはいられません。さあいこうベイリー、みんなに笑顔を届けに!
(島根日日新聞掲載日:2012/03/06)
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『あなたの知らない乳酸菌力(パワー) : ヨーグルトで健康革命』 後藤 利夫/著 小学館 ![]()
・・・底知れぬ乳酸菌のチカラ・・・![]()
まだまだ寒いこの季節に注意したいインフルエンザやだんだん暖かくなるこれからの時季に気になる花粉症。乳酸菌
は、そんな病気を予防したり、症状を緩和してくれるすばらしい力を持っています。ほかにも、腸の調子を整えてくれる
のはもちろんのこと、肌荒れ改善やダイエットなど様々な健康効果があります。
本書では、私たちが一般の商品や食品などで口にすることができる乳酸菌のうち42種類を取り上げ、その効果につ
いてわかりやすく解説しています。また、最後には市販されているいろいろな種類の乳酸菌を摂ることができるヨーグ
ルトや飲料などが紹介されています。それを見て、自分に合った商品を探してみるのも面白いかもしれません。
(島根日日新聞掲載日:2012/02/28)
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『もういちど生まれる』 朝井 リョウ/著 幻冬舎 ![]()
・・・揺れ動く若者達の青春を描く・・・
彼氏がいるのに、親友に想いを寄せられ、思い悩む「汐梨」。好きな子に思いが届かず、なんの特徴もない自分が嫌
いで、自分に自信の無い「翔多」。父を亡くしてから、心が離れ離れになって壊れそうな家族と向き合おうとする「新」。
美人で器用な双子の姉にコンプレックスを持ちながらも、自分を見つめ直そうとする浪人生「梢」など、時間と自由を持
て余す一方で、恋や将来の不安の中にいる大学生とその仲間たちの揺れる気持ちが詰まった連作短編集です。
現役大学生でもある著者によって、焦りや不安を抱えながらも、日常の中で感じる一瞬のきらめきを力にして、一歩を
踏み出そうとする若者達のリアルな姿が描かれています。
(島根日日新聞掲載日:2012/02/21)
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『限界集落株式会社』 黒野 伸一/著 小学館 ![]()
・・・村の再生に賭ける・・・![]()
主人公多岐川優は、大手銀行では企業の立て直しを行い、IT企業では財務責任者をするなど、企業再建で実績を上
げてきたエリート。会社を辞め気分転換のつもりで祖父の村へ来たつもりが・・・うのばあさん、弥生ばあさんや子どもた
ちとの交流を通して、限界集落といわれる過疎の村のためにひと肌ぬぐことを決意します。今までの非情な優の手法で
は通用しない現状に葛藤しながら主人公自身忘れかけた、大切なものを取り戻していきます。過疎地の現状や都市部
の若者の現状など現代日本の抱える社会問題を織り交ぜ、立ちはだかるさまざまな問題に、登場人物達が生き生きと
そしてさわやかに解決しながらストーリーは展開していきます。
(島根日日新聞掲載日:2012/02/14)
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『小澤征爾さんと、音楽について話をする』 小澤 征爾/著 村上 春樹/著 新潮社 ![]()
・・・村上春樹さんと小澤征爾さんとの対談・・・
この本は2011年1月〜7月にかけて世界各地で6回にわたり行われた小説家、村上春樹さんと指揮者、小澤征爾さ
んの対談で構成されています。
題名に「音楽について話をする」とあるだけに、世界のオーケストラの特徴や、指揮者とソリストの関係、ベートーベ
ン、ブラームス、マーラーの交響曲についての小澤さんの見解等が書かれていますが、二人の話はクラシック音楽だけ
に留まりません。
以前小澤さんが骨折した経緯や、森進一さんの歌が好きという話、シュターツオパーの音楽監督に就任した際、最初
に祝電をくれたのがカルロス・クライバーだった等、興味深いエピソードが村上さんにより引き出されています。
この本で論じられている楽曲を聴きながら読み進めるとより楽しめる一冊です。
(島根日日新聞掲載日:2012/02/07)